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●風峰・紅葉(かざみね・こうよう)
風峰家の次男にして、次期当主と目されている15歳の少年
無能とされる兄の斑葉とは異なり、その実力は折り紙つきの天才で、
風峰家始まって以来の最高傑作とさえ呼ばれている風の麒麟児
気さくで明るい性格に加えて、優しさと正義感も持ち合わせており、
また、自らの才能に驕ることもなく、謙虚で誰に対しても礼儀を欠かすことはない
能力的にも人格的にも文句の付け所の無い、完璧を具現したような存在
顔立ちは斑葉と似ているが、目元は涼しげで穏やか。真っ当な美形
四天筋の魔術師としては珍しいことに世界魔術協会に籍を置いており、
一線級のウィザードとして日夜活躍を繰り広げている
しかし、この活動については四家の間で批判の声が数多く上がっており、
如何に無能といえど兄を差し置いて次期当主の座にあることと併せて、
非難と嘲笑の足掛かりとして頻繁に弾劾の槍玉に挙げられている
紅葉(こうよう)を次期当主に相応しい厳格な人間に育て上げるにあたって、
斑葉との接触は悪影響しか与えないと判断し、快く思わなかった稲葉により、
小学校入学まで、その存在自体を秘匿された幽閉生活を送っていた
裏葉は懐妊が判明した直後から、病と詐称することで屋敷の離れに隔離され、
出産後は屋敷に戻ったものの、紅葉(こうよう)を連れ出すことは許されず、
さながら離れは紅葉(こうよう)の座敷牢となって、徹底的に隠匿された
外部と遮断された環境下で、幼少からひたすら魔術を学ぶことだけを強要され、
そのまま成長していけば、稲葉の目論見通りの人間となったかもしれない
だが薄暗い部屋を世界の全てとする、死んだ瞳をした幼い紅葉(こうよう)を、
世話役だった下女たちが不憫に思い、裏葉に進言すると、
やはり母親としてやりきれないものを感じていた裏葉も、それに同意する
そして、意見することを一切禁じる稲葉には説得など不可能であるため、
口裏を合わせて皆が協力することで、紅葉(こうよう)に人間らしい心を教え、
外部にもこっそりと連れ出すなどして、情操的な成長を促していた
幼い子供ゆえに、これらの行動の影響はすぐ顕著に現れたため、
それを見た稲葉が妻の裏切りに勘付いていた可能性は否定できないが、
この件に関しては裏葉も下女も一切の咎めを受けていない
なお、紅葉(こうよう)は6歳頃から自分ひとりで抜け出した経験も何度かあり、
その際に、父に認めてもらおうと修行している斑葉と顔を合わせている
両者とも互いの存在を知らなかったため、分家の人間か何かと勘違いしてしまい、
よもや実の兄弟とは気付かないままに仲良くなって、半年ほどを過ごしていた
紅葉(こうよう)は、自分が斑葉の目的の障害であることなど夢にも思わず、
斑葉の努力に感銘を受け、応援し、修行相手にもなっていた
後に、斑葉が父に成果を見せるもあっけなく切り捨てられ、
同時に見捨てられた理由として紅葉(こうよう)と対面させられたとき、
二人は初めて互いが兄弟であることを悟り、心はすれ違いを始めることとなる
家族のことを愛しており、それは外道である父に対しても変わることがない
斑葉に対しては、彼が血の滲む様な努力をしていた時期を知っているため、
単純に兄としてだけではなく、人としても強い尊敬の念を抱いており、
次期当主には、自分よりも斑葉の方が相応しいと考えている
だが、自分の存在が斑葉にとって重荷になっていることも自覚しており、
突き放すような斑葉の態度も相まって、嫌われていると思い込んでしまっている
それも仕方がないと頭では分かっているものの、兄の力になりたいと願っており、
避けられていることは承知の上で、斑葉の背中を追い続けている
自分の与り知らぬ内に、風峰家を出ていた斑葉の行方を案じていたが、
MWF終結後に、守護者の下で働いていたことを世界魔術協会を通して知り、
それ以来、斑葉の元を訪れては実家へ戻って欲しいと説得している
同じく実家の稲葉も説き伏せようとしているが、どちらも納得はしていない
実は10歳頃に、血の薄れによる「風」の力の消失を恐れた父の稲葉によって、
人体改造儀式を受けており、体内には一族伝来の風魔石が埋め込まれている
これは紅葉(こうよう)の本意によるものではなかったのだが、
もしも拒絶すれば、斑葉と紅葉(もみじ)に危害を加えることを示唆されたことで、
不本意ながらも魔力増幅の施術を受けることとなった
結果として、元々の高い潜在能力に風魔石を加えて底上げされた魔力は、
歴代当主も顔負けの水準となり、稲葉の目論見通りとなったものの、
強大過ぎる力を自力では制御しきれなくなってしまったため、
腕輪に見立てた特注のリミッターによって、常に魔力をセーブしている
以上のような経緯から、風峰家のなりふり構わない裏の面に気付いており、
四家の当主達が人体からの魔石抽出を企てた事件の折には、
いち早くその陰謀を察知して、人道を外れた所業を妨害すべく機会を窺っていた
兄妹には迷惑を掛けまいと、斑葉や紅葉(もみじ)にこの件は伏せていたが、
同じく稲葉らの企みを知って駆けつけてきた斑葉達と協力することで、
美鈴から魔石を抽出する儀式の発動を阻むことに成功する
しかし、追い詰められた稲葉によってリミッターを解除されてしまったことで、
暴走した魔力に肉体が耐え切れず、手酷い重傷を負ってしまう
幸いにも一命は取り留めたものの、片目の視力は完全に失ってしまい、
また、まともに動けるようなるには、長いリハビリを要する身体になってしまった
現在は世界魔術協会の傘下にある病院で、療養のために入院しており、
リハビリの片手間に、四家の処理に関する書類仕事を手伝っている
●風峰・紅葉(かざみね・もみじ)
斑葉と紅葉(こうよう)の妹に当たる、風峰家の長女にして末子
紅葉(こうよう)にこそ及ばないものの、若干13歳で相当な実力を秘めており、
兄と同じく世界魔術協会の一員として、戦いの日々に身を置いている
楚々として大人しい印象を与える可憐な容姿は母譲りのものであり、
振る舞いも裏葉に似て、淑やかで控えめな物腰をしているが、
その内面は毅然として芯が強く、凛とした意思と心の強さを持った大和撫子
また堅実なしっかり者であり、その卒の無い手際のよさから、
おっとりとしすぎている母に代わって、風峰家の日常の雑事を取り纏めている
家事に関してはほぼ万能と言ってよく、特に料理は得意だと自負しているが、
最も自信がある和食に限っては、母の味には敵わないことを自覚している
最近は斑葉のアパートで垣間見た、涙ぐましい節約料理に感化され、
苦しい家計のことも鑑みて、独自に節約料理を研究しているらしい
紅葉(こうよう)のことは親しげに兄さんと呼ぶ一方で、
斑葉のことは兄様と呼んでおり、どこか余所余所しい態度を見せている
だが、紅葉(こうよう)の存在が知らされていなかった頃に生を受けたため、
斑葉のことは紅葉(こうよう)以上に、兄として親しみを覚えており、
幼い頃によく面倒を見てくれた斑葉のことを決して嫌っているわけではない
斑葉は、物心がついた頃から自分が二人を遠ざけようと振る舞ったことで、
紅葉(もみじ)には冷淡な自分の記憶しかないからだろうと考えているが、
それは間違いであって、紅葉(もみじ)は昔の斑葉をきちんと覚えている
その上、斑葉は自分たちのことを考えて、不用意に傷つけることの無いよう、
故意に素っ気無い態度を取っていることにも気付いており、
現在の遠慮した距離間は、斑葉の意思を汲んであえて行っているに過ぎない
紅葉(こうよう)と同様に、風峰家を飛び出した斑葉の行方を心配していたが、
ようやくMWF終結後に突き止めることが出来たため、兄と二人で訪れては、
差し入れを届けたり、不摂生な斑葉に料理を作ったりしている
紅葉(こうよう)とは違って、実家へ帰るように説得はしていない
紅葉(もみじ)自身としては帰ってきて欲しいと思ってはいるが、
無理矢理に連れ帰るよりも、斑葉の判断に任せるべきと考えている
やはり次期当主は斑葉が相応しいと思っており、兄弟間の和解も願っているが、
これも同じく、斑葉の意思と心の整理を尊重したいと考え、口は出さない
四家の取り潰し以降は、実家の雑事や紅葉(こうよう)の看病だけでなく、
紅葉(こうよう)が抜けた穴を埋めるため、ウィザードの活動も積極的に行い、
二人の兄の身を案じつつ献身的な頑張りを見せているが、
逆に紅葉(もみじ)の方が過労で倒れやしないかと、
母と紅葉(こうよう)は勿論、斑葉も内心でかなり心配している
●風峰・葉(かざみね・よう)
風峰家の初代当主であり、歴代の中でも随一の魔力を誇る不世出の魔術師
その力量は、魔石によって強化された紅葉(こうよう)すらも凌ぐ程のものであり、
四家全体の歴史を見ても最強の存在と断言できる稀代の天才だったという
だが、生まれつき身体が非常に弱く、病を患っていない時は無かったために、
二十代の若さで早世してしまったとも伝えられている
その生涯において、独創的な発想と奇抜ながらも筋の通った論理で象った、
魔術理論に関する難解な考察論文を数多く遺していることから、
単純に生まれつきの魔力に恵まれただけの人物でないことを窺うことができる
彼が記した書物は風峰家に所蔵されており、門外不出のものとされていたが、
四家の崩壊以降は魔術協会の監査が入ったため、
危険な魔術を扱ったものについては禁忌書の烙印を受け、没収されてしまった
なお、斑葉が改良して扱っている魔術回路は葉の演繹を参考としており、
独学で葉の書物を読み解くことで魔術のイロハを学んだ斑葉にとっては、
師匠と呼び習わすべき先達の魔術師でもある
葉自身に関する記録は上記以外に殆ど伝承されておらず、
その終生における功績も、口伝には乏しく、書物を除いて知ることは難しい
彼が既に逝去した歴史上の人物であることは疑いようの無い事実だが、
それは肉体が朽ち果てた証明にしかならない。彼の意識は未だ生きている
代々の風峰家当主が受け継いできた一冊の魔術書を根拠の由来する、
歴代当主のみが知り得ることを許された彼の現実存
風峰葉自身が愛用していたという、彼の数多の研究の精髄ともいえる魔術書
家督継承者の証である『スペルコレクションズ・オリジン』を依代として、
初代当主の意識、魂魄、つまりプラーナは現在に永らえているのである
風峰葉はインテリジェンス・アイテム――スペルコレクション・オリジンとして、
陰から一族を見守り、時の当主らに助言を与えてきた
ただし自身の存在については次代当主にも伏せて、漏らすことを固く禁じ、
継承後、対話を行うに足る人物と見極めるまでは只の書物であり続けた
なお、斑葉の祖父である艾葉と、父である稲葉は対話を行っていない
斑葉は、四家の当主らによる企みについて調査をしていた折に、
稲葉の隠し書庫に安置されたスペルコレクション・オリジンを手にしている
それ以降は、稲葉との戦いで自身の魔術書がズタボロになってしまったため、
継承の証とはついぞ知らないままに自身の書として扱っていた
葉は艾葉とも稲葉とも異なる斑葉に興味を持ち、早くから対話を試みていたが、
斑葉に宿った冥蟲王によるノイズに阻まれ、思うように疎通を図ることが出来ず、
冥蟲王討伐の際に欠片を抽出したことで、ようやく精神のリンクが完全に繋がった
現在は、斑葉の歴代で類を見ない驚くべき素質の低さをからかいながらも、
自身の理論を応用していることから、飲み込みの良さと理解力の高さは評価し、
気が向いたときには助言を説いてやっている
また、サイカーチェスの欠片を喪失したことで、ただでさえ低いというのに、
更に大幅に減退の憂き目に遭った斑葉の魔力を補うための方策として、
三原教授の技術を応用して互いのプラーナを循環および共有することにより、
ウィザードとしての斑葉をかろうじて保つ魔力の心臓部としての役割も担っている
ただ、これには両者の思考も共有されて筒抜けとなってしまう副作用があるため、
葉に四六時中揶揄され続ける生活となった斑葉はかなりウンザリとしている
ついでに蛇足ではあるが、オリジンの厚さは枕として非常に心地よい高さらしく、
疲労困憊の斑葉が、オリジンを枕として死んだように眠っている光景が良く見られる
そのあまりにぞんざいな扱いに、もっと先祖を敬って大切にしろと葉は嘆いている
天性の図抜けた才を持っているが故なのか、自覚も悪気もないのだが、
どこか常人を小馬鹿にしたような、人を食った態度をしており、
それもただでさえ触れてはならない逆鱗をわざわざ逆なでしてしまうという、
天然で辛辣な毒舌を諷する性質の悪い性格をしている
仮にも当主であった者でありながら、家系の存続については然程の興味は無く、
己の興味の赴くままに子孫を観察し、時には梃子を入れるなど介入して、
得られた結果から様々に思いを巡らせては、楽しみを見つけている
恐らくは生前からこのような掴み所の無い、気儘な奇人であったのだろう
なお、このスペルコレクション・オリジンに宿っている人格は、
確かに強大な魔力と深遠な知能を持ち、自ら葉の名を名乗ってはいるが、
彼が本当に風峰葉だと証明する術は無く、本人だと断言することはできない
●風峰・艾葉(かざみね・がいよう)
先代の風峰家当主を務めた、斑葉の祖父にして、稲葉の父親
魔術師としての腕は決して良いものではなかったが、交渉術に長けており、
在任中の四家間の交渉において、常に優位な立場を崩すことは無かったという
18才で家督を相続して以来、60年の長期に渡って当主の名を背負っていた為、
その影響力の残滓は、稲葉への代替わり以降も四家間に色濃く残り続けており、
同じく優れた才覚を持つ当代当主の稲葉が、それを上手く利用することで、
風峰家は後継者に懸念が残る極めて不安定な立場として見られているにも拘らず、
依然として四家筆頭として他の一族への強制力を根強く保つことに成功している
近代の風峰家の強固な地盤を磐石なものとする土台を築いた老獪な人物
他の四家は表面的には風峰に追随しながらも、艾葉の存在を疎ましく思い、
生前は直接的にも間接的にも、彼の排除を企む動きの絶えることは無かったが、
手練手管で四家全体を掌握していた艾葉にとっては、全てが掌の上の遊戯であり、
最終的には、高齢を理由として指摘することで、引退を迫る程度のことでしか、
他の当主らが抵抗できないような力関係の構図を、艾葉は組み上げていった
だが、この次代への引継ぎを求める声は風峰家内部からも少なからず上がっていた
跡取りの稲葉は高い魔力を持ち、頭脳も艾葉に引けを取らないと専らの噂で、
艾葉が席を譲ったとしても風峰家の地位が揺るぐことは無いだろうと評価されており、
また分家の人間には独断専行が目立つ艾葉を面白く思わない者もいることから、
共通した内外の声によって、次第に艾葉は引き際を強く迫られていった
しかし、それでも何故か艾葉は引退することを頑なに拒み続け、
斑葉の誕生から程なくして瞑目に至るまで、生涯に渡って家督を守り続けた
艾葉は分家筋から複数人の妻を娶っており、総勢で8人の子宝を儲けたが、
7人までが若くして落命してしまい、末子である稲葉だけが成人を迎えている
この件には不審を抱く者が多く、家督を欲する稲葉の陰謀と囁かれることがあるが、
公的には病死や事故死とされ、事実関係の詳細は明らかにされていない
有能だが、その巧みな手腕が仇となって手の届く全ての欲望に目が眩んでしまい、
当主の座にギリギリまで無様にしがみ付いた愚かな古老と艾葉は見られているが、
「焔」も「水月院」も「地神」も知る由は無いものの、事実は少しだけ異なっている
艾葉が欲深いのは間違いなく、権力の椅子に固執していたのも確かであるものの、
それ以上に、彼は自身の乏しい魔術の才に対して、コンプレックスを強く抱いており、
当主就任直後から、弱まりつつあった風の血脈の保存と補強を体の良い名目として、
財力の限りと権力の及ぶ全てを尽くして、己の魔力の向上の研究を続けていた
その執念は年を経るごとに強くなり、やがては狂気染みたものにまで昇華され、
ついには、スペルコレクションズ・オリジン』に記載された邪法を改良することで、
自らの子供を贄として自身の魔力に転化するという、禁忌の業に手を染めてしまう
それは本来、一族において死者が出た際にのみ使用が許された儀式であり、
そもそも生者に対しては行使することができない筈の術式だったのだが、
艾葉は発想を転換することで、3人の子供の犠牲と引き換えにしながらも、
とうとう立ちはだかっていた技術的な障害の排除を成し遂げてしまい、
施術者が血の繋がりの限りなく近い縁者ならば吸収することに成功してしまう
そして、自身の子から生きながらにしてプラーナを抜き取り、己の力に変換するという、
まるでエミュレイターのような悪魔の所業に魅入られた艾葉は、
その後、4人の子供たちのプラーナを、文字通り生き血を啜るようにして喰らい尽くした
(以下、続きます)